
フィリピンでビジネスを始めて、気づけば2年が経ちました。
当初は「海外で自由に生きる」という理想像にワクワクしながら、毎日が刺激と夢にあふれていました。
しかし、実際に飛び込んでみてわかったのは、そこには想像を超える落とし穴と、現実的な壁があるということでした。
海外ビジネス最大のリスクは「お金のトラブル」

フィリピンでは、日本人が100%の株式を保有して法人を設立することはできません。
そのため、現地のフィリピン人パートナーと共同経営という形を取る必要があります。
この制度設計こそが、最大のリスクになるのです。
実際に私が直面したケースでは、500万円で済む工事費が、中間業者を何社も通され、3000万円を請求されるという事態が起こりました。
さらに、他店舗は月20万円の家賃で契約しているのに、私のパートナーは40万円で契約を結ばされていたことも判明しました。
現地人による“チーム詐欺”の存在
さらに厄介なのは、これが一人の犯行ではなく、複数人によるチームで行われているということです。
仲介会社、建設業者、弁護士などがつながり、「外国人はお金を持っている」と判断されると、標的にされることも珍しくありません。
実際に、著名人や企業のフィリピン進出が話題になる一方で、裏では大金を失い撤退を余儀なくされた事例も数多く存在します。
対策:自分が“主役”になりすぎない
こうしたリスクを回避するために、私が学んだのは「自分が前に出すぎない」ことでした。
現地の交渉や契約事は、なるべくフィリピン人パートナーに任せることで、無駄に価格を吊り上げられるリスクを下げることができます。
日本人が最初に出ていくと、「お金がある=騙せる」と見られやすく、最初から警戒心を持たれることになります。
そのため、自分は“決定者”として後ろに控え、全体を把握しながら進行を管理するポジションに立つことが安全です。
スタッフも信頼しすぎない|「仕組み」で守る
さらに、内部にもリスクは潜んでいます。
スタッフが売上をごまかしたり、お金を抜くケースも現実に起こりました。
このような問題は、「信頼」では解決できません。仕組みで守ることが絶対条件です。
- 店内には防犯カメラを設置
- **POSシステム(例:StoreHub、Qashier)**を導入して売上管理
- 出金ルールを明文化し、マニュアルを整備
このように、人ではなく「仕組み」によってリスクをコントロールすることが、海外ビジネス成功の土台となります。
これから海外に出る人へ伝えたいこと
今後、海外でチャレンジする日本人はますます増えていくでしょう。
だからこそ私が伝えたいのは、「ビジネスの失敗よりも、お金を騙される失敗をしてほしくない」ということです。
私は何人もの日本人経営者が、悔しさを抱えながら日本に帰国していく姿を見てきました。
彼らの多くは、ビジネスのアイデアが悪かったわけでも、努力が足りなかったわけでもありません。
現地の仕組みや文化に対する理解が浅く、想像以上のリスクにやられてしまったのです。
まとめ|「夢」には「現実の防御力」が必要

フィリピンや他の国で夢を実現したいなら、その前に「守り」を固める必要があります。
- 契約前に複数の相場を確認する
- 契約書は必ず専門家か第三者に相談する
- 「この人なら大丈夫」という考えは、海外では通用しない
海外で自由に働くには、「自由に動ける力」だけでなく、「騙されないための構造理解」も必要です。
夢を守るために、現実を見て対策する――それこそが、真の自由への一歩だと私は考えています。
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