「具体と抽象を行き来できる人は、圧倒的に頭がいいと思われる」
ビジネスを続けてきた中で、僕が最も効果を感じた思考法がこの“具体と抽象”の理解と活用です。 プロジェクトの設計から部下への指示、経営判断まで、この考え方が入るだけで驚くほど解像度が上がり、言語化やマネジメントがスムーズになります。
✅ 横の世界と縦の世界の違い
社会や教育には「横の世界」と「縦の世界」があります。 この違いを理解しているかどうかで、思考の深さが変わります。
横の世界(具体的な構造)
- 正解がある
- 優劣が明確
- 教科書・資料が重要
- 成果が時間に比例
- 専門家が強い
- 誰でもやればできる
- 先生は“偉い存在”
縦の世界(抽象的な探究)
- 正解がない
- 優劣が見えにくい
- 資料はあくまでヒント
- 成果は時間に比例しない
- 問いを立てる力が重要
- 素人が強い場合もある
- 先生は“触媒”(促進役)
縦の世界では、抽象度が上がるにつれ情報は複雑化し、理解者も少なくなります。 その代わり、深く掘れば掘るほど、他人にはない“差別化された価値”が見えてくるのです。
✅ 具体と抽象の定義
分類 | 具体 | 抽象 |
---|---|---|
内容 | 個別・特殊 | 集合・一般 |
感覚 | 五感で捉えられる | 概念・構造として捉える |
対象 | 実体・属性(形・色・数) | 関係性・意味・背景 |
たとえば、現場の声やお客様の体験は“具体”で、そこから読み解く本質的な課題や傾向は“抽象”です。
✅ 現代の課題:情報過多で抽象化能力が低下している
現代は情報があふれています。そのため、知識はあるのに「構造化して考えられない」「抽象化してまとめられない」という人が増えています。
結果、現場の事象(具体)は山のようにあるのに、本社やリーダー陣の視点(抽象)とは噛み合わず、ギャップが生まれやすいのです。
✅ コミュニケーションギャップの原因は“思考の階層の差”
- 抽象化の差:縦の深掘り。思考力や本質的な理解の違い
- 具体化の差:横の知識や経験。現場感や実感値の違い
例:大阪と東京の文化、海外と日本の違いも、抽象化できないとただの偏見になります。
「理想と現実」「一般論と個別ケース」も、抽象と具体を行き来できないとズレが大きくなります。
✅ ビジネスで使える“逆バイアス”の法則
人は他人を抽象化(一般化)しがちで、自分を具体化(特別化)します。
- 他人:「あの人っていつもこうだよね」(一般化)
- 自分:「自分は事情があって特別」(具体化)
この“思い込み”を逆に使いましょう。 自分を抽象化し、他人を具体化して見ると、冷静で深い視点を持てるようになります。
✅ 弱みを武器に変える「折り曲げの法則」
不平不満を持っている人ほど、実は問題がよく見えています。
真ん中でうまくやる人よりも、外側で苦しんでいる人の方が、創造的なアイデアを生む可能性があります。
自分の弱みを活かせる環境に身を置き、「構造」と「意味」から見直すことで、新しいビジネスや企画のヒントが生まれます。
✅ まとめ:具体と抽象を行き来できる人が“できる人”に見える
- 抽象:戦略・本質理解・長期思考
- 具体:行動・改善・現場理解
この思考を自在に使い分けられる人は、プロジェクトの精度も言語化力もマネジメント力も高まります。
実際に僕も、部下への指示や戦略設計がくっきりと見えるようになり、頭のいい人に見られるようになりました。
“わかってる感”を出すのではなく、“本当にわかってる人”になるために、日常の会話でも「これは具体?抽象?」と意識するだけで、あなたの思考力は一段階アップします。
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